筋力トレーニングとテコの原理

トレーニングの強度をきちんと把握するには、ちょっとだけ物理や数学の知識が必要になります。

例えば、「スポーツと作用と反作用の関係」だとか「慣性とスポーツと肉体改造」で書いたのもそういう種類の話です。

今回は気分を新たに、テコの原理と筋力トレーニングの関係について解説してみたいと思います。

テコの原理

テコの原理の解説を詳しく行っていると文章が膨大になるので、筋トレに直結する部分にポイントを絞って解説しましょう。

次のように、シーソー型のテコを思い浮かべてください。

テコ

左の端っこが力を加える点「力点」
真ん中の支えが「支点」
右端の重りが乗っている部分が「作用点」
となります。

懐かしい小学校時代の知識がよみがえって来たでしょうか?(笑)。

さて、ここで左側の力点に力を加えて、このシーソーを動かそうとしていると仮定しましょう。
このとき、支点から作用点までの距離が短いシーソーと、反対にものすごく長いシーソーがあったとしたら、どちらがより小さな力で動かせるでしょうか?

テコ2

答えは簡単ですね。
もちろんAの支点から作用点までの距離が短いシーソーの方です。

重さが同じなら、支点から作用点までの距離が短いほど、重りを動かす範囲が小さくなる分だけ、必要な力も少なくて済むということです。

筋力トレーニングへの応用

テコの原理が筋トレを行う上でなぜ重要になってくるかというと、上のシーソーのように重心の位置によってトレーニング負荷が大きく変わる場合があるからです。

例を挙げて説明しましょう。

例えば腹筋運動を行う場合、力を発揮する筋肉は腹筋で、支点は腹筋のすぐ近く(胸の下あたり)ですから、この2つはかなり近い位置にあるわけです。

そして、重り(動かす対象)となるのはお腹から上の上半身になりますが、ここでは腕の位置に注目してみましょう。

腕を胸の上に乗せていた場合、腕の重さが胸の部分にかかり、支点にかなり近い部分に重りを置いているような状態になります。

重心の位置によって、トレーニング負荷が変わります

しかし逆に、手を頭に添えていたら重心は支点から遠ざかり、その分だけ筋トレ負荷は高くなります。

ちょっと応用編として、レッグエクステンションのような筋トレマシンを使う場合の例もご紹介しておきましょう。

レッグエクステンションでは、力点は大腿四頭筋、支点はヒザの関節になります。

だから、パッドの位置をヒザから遠ざけるほど、同じウェイト設定でもトレーニング負荷としては「重く」なるということです。

レッグエクステンションとパッドの位置

一見同じ重さでトレーニングしているように見えても、このように微妙な違いによってトレーニング負荷が変わることはよくあります。

筋力トレーニングの方法を考えたり、セット数や回数、重量を記録して比較する場合は、テコの原理についても頭の片隅に入れて置くようにすると良いでしょう。

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