塩少々、が許せない件

当研究所内の記事でも何度か書いたことがありますが、研究所長は以前、医薬品や医薬品の原料となる物質などを分析する仕事をしていました。

モノがモノだけに当たり前ではありますが、医薬品分析という仕事はとてもとても厳密な世界。
濃度を測るのに%ではなくppm(%の一万分の一)を使ったり、重さを測るのにgではなくμg(マイクログラム:gの千分の一)を使ったりするのは当たり前。

そしてそのビミョーな数値の上下によって、数億円分の製品がパーになったりすることもある。

そんな世界で何年も仕事をしていると、どうしても許せないというか、違和感を感じることがあります。

それが料理などでよく使われる
塩を少々とか
適量の醤油を
という表現。

「少々なんていう人によって解釈の変わる単位を使うな!」
「適量ってなんだ!その適量を示すのがそっちの仕事だろ!」
と思ってしまうのです。

料理は、微妙な成分比が変わると味の印象が大きく変わることがあります。
医薬品ほど厳密ではないにしても、調味料の分量を間違えると台なしになる可能性だってあるでしょう。

そりゃあ料理の経験が豊富な人にしてみれば、「少々」とか「適量」という表現でも感覚的にどれくらい加えればいいのか分かったり「小さじ○○杯」みたいな単位に換算できるのかも知れません。

それでも、そもそもレシピを作るなら未経験者でも大きな失敗が無いように、目安になる数値くらいは書いておくべきです。
知っている人しか分からないマニュアルではダメなのです。

もしも医薬品製造の世界で、
硫酸を少々、
とか、
チメロサールを適量加えて
なんていう表現がSOP(分析などに使う手順書)に書かれていたら、厚生労働省から大いに怒られることになるのは目に見えています(笑)

さすがに料理のレシピを研究所レベルにして、塩を加えるのに微量天秤を使ったり、醤油を電子式ピペットで加えるのはあまりにも非効率ですが、もうちょっと曖昧な表現を無くしてくれると「理系男子」もキッチンに立ちやすくなるのではないでしょうか。

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