恐ろしい男の話(後編)

※注:この話は「恐ろしい男(前編)」の続きです。
前編をご覧になっていない方は先にそちらをご覧になることをオススメします。

恐ろしい男「約束は一体どうなったんだぁ!?」

そう言うが早いか、男は僕の襟首を掴み、丸太のような腕で軽々と空中につるし上げました。

薄暗い部屋の中で窓から雷の光が差し込む度に恐ろしい形相が浮かび上がります。
しかもその距離は鼻と鼻が触れそうなほどの至近距離!
すでに心臓は恐怖で止まりそうです。

恐ろしい男「質問に答えろよ・・・言葉わからねぇのか!?」
僕「ゴメンなさい・・・今やろうと・・・」
恐ろしい男「言い訳は聞きたくねぇ」

男はそういうと、僕を床に下ろしました・・・というよりは放り投げたという表現が正しいかもしれません。

恐ろしい男「いいか?次に来た時にちゃんと片付けて無かったら、命は無いと思えよ?」
僕「・・・」
恐ろしい男「分かったな!」
僕「は、はい!」

そしてまた暗い部屋に取り残され、大量の寝汗とともに目を覚ましたのです。

しかし、自分の義務を放棄していることはおいてといて(笑)僕は考えました。
確かに部屋は片付けなくちゃいけないかもしれないけど、なぜあんな見ず知らずのヤツに暴力を振るわれなきゃならないんだろう?と。

頭に浮かんだ二文字、それは「復讐」でした。

かと言って、腕力では逆立ちしても太刀打ち出来るはずがありません。
だから無い知恵を絞って一生懸命考えました。
力が弱い、そして運動神経も最低な自分でも、あの恐ろしい男を倒せる方法を・・・。

その日の夜、僕は父の使っていた道具箱から、こっそり金槌を取り出しました。

それを持って寝れば、たぶん夢の中にそのまま持っていけるだろうと考えたからです。
そして「ぜったいにやっつけてやる!」という決意とともに、布団に入り眠りにつきました。

目を覚ますと、そこはやはり薄暗い散らかった居間。
右手にはしっかりと金槌が握られています。
夢の中への「武器の持ち込み」は、とりあえず成功です!

やがて、お決まりの雷が鳴り出しましたが、僕に部屋を片付ける気は全くありません。
なぜなら僕のすべき事はあの男に許してもらう事ではなく、この手で倒す事なのですから。

前回と同じように玄関のチャイムが鳴り、ドアが開けられる気配がした瞬間!
僕は風呂場に向かって走りました。
そして風呂場に入ってその内側から、椅子や風呂桶をドアのそばに重ねました。

恐ろしい男「逃げんなコラァ!今日こそ思い知らせてやる!」

男の足音はドスドスと響き、捜索を続けながらも確実にこちらに向かってきます。
電気を点けていない風呂場の闇に目を慣らしながら、僕は息をひそめて男が来るのを待ちました。

やがて、男の手が風呂場のドアにかかりました。
すりガラス越しにグローブのような大きな手がノブを掴んだと思うと、次の瞬間男は力任せにドアを開け放とうとしました。

・・・しかし、ドアは途中で僕が置いた椅子や風呂桶に突っかかって、半分も開きません。
元々狭い入り口は更に狭くなり、とても大男が通れる幅はありませんでした。

仕方なく男は首から上だけをドアの隙間にもぐりこませ、中を覗き込もうとしました。

・・・そう、僕の狙い通りに。

僕は野球のバッティングの要領で振りかぶった金槌を、まだ目が闇に慣れきっていない男の無防備な側頭部めがけて叩きつけました。

この一撃で倒さなければこっちが殺される!
まさに渾身の一撃です。

ゴッ!!!

激突音と、腕に伝わってくる鈍い手ごたえ。

恐ろしい男「がぁぁっ!」
と断末魔の叫び声を上げて男はそのまま倒れこみ、すぐに動かなくなりました。

僕はその場にヘナヘナと座り込み、気が付くと自分の布団の中で朝を迎えていました。

・・・以来、その恐ろしい男の夢は一度も見ていませんが、もしかしたらあの男は子供の頃の研究所長の「整理整頓に対する義務感」だったのでしょう。

それを倒してしまったために、今でも部屋を片付けられないという性癖は残ったままです(笑)

何はともあれ、あれが夢であって本当に良かった(-o-;)
もし現実であったなら、人一人殺していたかもしれませんから・・・。

肉体改造に励んでいる方なら尚のこと、その力をケンカなどに使うことの無いようにして下さいね。

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